サッカーの観戦をしている時、実況解説で「ポジション」と言う名前を良く耳にします。サッカーのフィールド内で選手が与えられている場所と役割ですが、ポジションによって役割が変わってきます。これらのポジションや役割を、観戦している目線から分かりやすくご紹介していきます。
目次
サッカーを楽しむための7つのポジション名と役割を解説
サッカーの戦術は日々進化しており、元ブラジル代表のロナウドみたいに、個人の力では中々ゴールが奪えなくなってきています。
その中で、各選手に与えられている役割もチームや監督の戦術に応じて柔軟に対応できる選手が求められており、プレーが上手いだけでなく頭も使うのが現代サッカーの基本となっています。
各選手に与えられる役割は、フォーメーションと言われる選手の配置で決まってきます。サッカー日本代表の例で行くと、フル代表は4-2-3-1なのに対して、オリンピック代表のU23は3-4-2-1と配置が違います。
この数字は何を意味するのかと言うと、守備をスタートさせる時点で、自チームのゴールからセンターサークルまでを4つの線に分割して、ゴールに近い位置に配置される選手から、センターサークルに近い位置に配置される選手を順番に表しています。
フル代表で行くと、4-2-3-1の4はディフェンダー、2は守備的ミッドフィルダー、3は攻撃的ミッドフィルダー、1はセンターフォワードのポジションと言う事になります。
しかしながら、昨シーズンJリーグで優勝した横浜Fマリノスも同じ4-2-3-1のフォーメーションを使用しています。同じサッカーをしているのか?と言うと全く違いますよね。これは、チームや監督が目指しているサッカーが根本的に違うため、同じポジションにいる選手でも与えられる役割が全く違ってきます。
1つのポジションで役割が全く変わってくるのがサッカーです。今回は、サッカー日本代表を例にして、各ポジションがどのような役割を持っているのか一緒に見ていきましょう。
FW(フォワード)
まず最初にご紹介するのはフォワード(FW)です。4-2-3-1の1に当たるポジションです。相手ゴールに一番近い位置に陣取り、得点チャンスも多くなる花形ポジションの一つでもあります。
守備面では、最初にボールを持った相手ディフェンダーに守備を仕掛けに行きます。相手ディフェンダーがゴールキーパーにボールを戻したり、前にボールをパスするのを防ぐ他、パスコースを限定させて、味方のディフェンス時にボールを奪いやすくする役割を担います。
攻撃面では様々な特徴のプレイヤーがいて、相手ディフェンダーを背負いながらボールを保持して味方に攻撃を展開させる、また空中戦でヘディングに競り勝ち、味方にボールを保持させて攻撃を展開させるポストプレイヤー、日本代表では大迫勇也選手が有名ですね。
オフサイドラインギリギリにポジションをとって、スルーパスを供給させゴールに迫る裏抜けが得意なプレイヤー、浅野琢磨や前田大然が有名です。更に相手ディフェンダーの死角にポジションをとり、クロスなどのボールが入った瞬間に飛び出してゴールを狙うワンタッチゴーラー、上田綺世が有名です。
良く、日本サッカー界のレジェンド釜本邦茂氏が「フォワードはドリブルとシュートだけやっていればいい」と言っていますが、本音はどのフォワードも同じ気持ちです。しかし、そんな事をすればチームから干されてしまいます。
点を取るだけで良いフォワードはもはや時代遅れとされ、守備から攻撃まで幅広いプレイをしなければいけない気苦労の多いポジションになります。
MF(サイドハーフ)
フォワードの後ろ、左右サイドラインに位置するのがサイドハーフと言われるポジションです。4-2-3-1の3の2人がこのポジションを任されます。
守備面では、サイドラインにこぼれたボールを処理したり、相手選手がサイドから攻撃するのを防いだり、後ろのディフェンダーをカバーしに行ったりします。
攻撃面では特徴のあるプレイヤーが多く、サイドラインからドリブルを開始して、ペナルティエリア中央付近までボールを運びシュートを狙いに行く選手、中島翔哉や食野亮太郎が有名ですね。または、ドリブルを開始してコーナーエリア付近にまでボールを運びクロスを供給する選手、相馬勇紀などが有名です。
または、状況に応じて、トップ下やオーバーラップしてきた選手を上手く使いチャンスメイクするタイプの選手、原口元気選手などプレイヤーの個性がはっきりしている事が多いのも、このポジションの大きな特徴の一つです。
MF(トップ下)
フォワードの後ろに位置し、フィールド中央部分にポジションを取るのがトップ下と言われる選手です。4-2-3-1の3の中央に位置します。キャプテン翼の主人公大空翼がこのポジションで、キャプテン翼ヒット時でサッカーをしていた選手は、ほとんどこのポジションを希望したと言われるくらい、一時は花形ポジションになっていました。
守備面では、相手ボランチなどにディフェンスに行き、バックパスを誘発させたり、パスコースを限定させます。時には味方ボランチやサイドハーフのカバーに入ったりもします。
攻撃面では、主にボランチとフォワードの間にポジションを取り、攻撃を展開させる役割を担います。また、フォワードにラストパスを送ったり、自らゴールを狙っていきます。
昔はこのポジションをナンバー10と言っており、バイタルエリア中央付近からほとんど動かずにチャンスメイクやシュートを狙っていましたが、現代サッカーでそのような事をする選手はまずいません。相手選手がどの選手をマークしているか、相手ディフェンダーがどの位置にいるかなど緻密に計算をし、次のプレイを瞬間で判断しゴールを狙う判断力を要求されます。運動量とイマジネーションが試されるポジションでもあります。
MF(ボランチ)
センターバックの前側にポジションを取り、試合の状況に応じてフォーメーションのバランスを保つのがボランチ、守備的ミッドフィルダーです。4-2-3-1の2の部分です。
守備面では、中盤でボールを保持している選手にプレスをかけに行ったり、相手選手のパスをインターセプトし、カウンターを仕掛けるチャンスを作ったりします。これは山口蛍選手が有名ですね。または、ドリブルを仕掛けに行った選手をディフェンスで止めてボールを奪取する選手もいます。橋本拳人選手などが有名です。
攻撃面では、ボールを前の選手にパスする際、何処に配給すればチャンスを作れるか的確に判断してパスを繋がなければなりません。これは柴咲岳選手や大島優太選手がその役割を担います。
更にバイタルエリア付近にまで侵入し、こぼれたボールを拾い、2次攻撃に繋げたりミドルシュートを狙ったりする選手もいます。斎藤未月選手が有名です。
ボランチは守備をする上で幅広い範囲をカバーするため、相手選手がどのエリアから攻撃を仕掛けるか的確に予測し、効果的にポジションを取りつづける作業が最も重要になります。一歩判断を間違えれば、相手選手がペナルティエリアに侵入し大ピンチを迎えてしまいます。
味方選手のポジションをバランスよく保ち、味方選手同士がパスをしやすい位置に入れるように、常にポジショニングに気を使うのがボランチです。体よりも頭が一番疲れるポジションとも言われています。
DF(サイドバック)
自軍ペナルティエリアのサイドラインに位置し、守備から攻撃までサイドを縦横無尽に走り回るのがサイドバックです。4-2-3-1の4の両脇に位置します。
現代サッカーではサイドから攻撃を組み立てるパターンが多いため、守備面で一番苦労するのがサイドバックです。まず1対1に強くなければいけません。相手選手にドリブル勝負で負けるなんて許されません。ボールを奪取する他、相手選手にパスを出させたりして攻撃を中断させ、守備を安定させる役割を担います。
攻撃面では、相手ゴールまで走り、サイドハーフやボランチにパスを要求し、相手ディフェンダーを混乱させる役割を担います。クロスを入れたり、時にはペナルティエリア付近にまで走り込みシュートを狙ったりします。長友佑都選手が有名ですね。
サイドバックは1対1の強さの他、豊富な運動量とカバーリング能力、正確にパスやクロスを供給する能力が要求されます。センターバックの選手がサイドバックにコンバートされる理由は、その能力を鍛えるためでもあります。冨安健洋選手が有名です。
余談ではありますが、ゲーム終盤によく足が攣る選手はサイドバックが一番多いです。
DF(センターバック)
味方ゴールキーパーの手前にポジションを取り、相手選手の攻撃を防ぐのがセンターバックです。4-2-3-1の4の中央部分に配置されます。
守備面では、相手選手のドリブルを止める、クロスなどの空中戦に競り勝つ、シュートブロックをするなど体を張ったプレイを要求されます。相手選手がどのように動くかを的確に予測しオフサイドを誘発させるプレイもやります。
攻撃面では、ボールをどの選手に供給するかを見極め、的確にボールを渡すフィードキック能力、時には相手陣内にまで上がり数的優位を作る役割も担います。身体能力ではフォワードと同等の能力を求められます。
実は、現代サッカーのセンターバックは、フォワードからコンバートされた選手が多いのも特徴です。昌子源選手や遠藤航選手が有名ですね。
GK(ゴールキーパー)
フィールドプレイヤーの中で唯一手を使う事が許され、自軍のゴールを守る最後の砦がゴールキーパーです。
ゴールキーパーは、ピッチ全体を見渡す事ができるため、フィールド上の監督とも言われています。そのため、守備時に味方選手にどのポジションを取るように指示するコーチングや、相手選手がシュートを打っても取りやすいポジションに位置するポジショニング能力が要求されます。引退した楢崎正剛氏が、この能力がずば抜けており、現役選手で彼を超える能力を持った選手は未だ現れていません。
ボールを止めるセービング能力はもちろん、クロスが入った時にボールをキャッチするハイボール処理や、味方選手にパスを出すパントキックやフィードキックの能力も要求されます。
ドイツやコロンビアではゴールキーパーは花形ポジションとされ、一番サッカーが上手い選手がゴールキーパーを任されます。
【初心者向け】サッカーの全ポジション一覧と役割をわかりやすく簡単に解説|まとめ
サッカーの面白さは、フィールド上22人の特徴が全員違い、各選手の個性を楽しめるのが大きな特徴です。特に生で観戦した時は分かりやすく、この選手は背が高いけどヘディングよりも足元でボールを扱うのが上手いとか、テレビでは足が遅く見えるけど実は足が早いとか、意外な一面も見えたりします。
サッカーはボールを追いかけるだけでなく、各ポジションの選手を追いかけて観たり、ボールを持っていない選手が何をしているかを観察するのもすごく楽しいスポーツです。こんなスポーツはサッカーを置いて他にないのではないでしょうか。
一度、サッカースタジアムに足を運んで、テレビでは見れない選手を見てみてはいかがでしょうか。きっとサッカーがより面白くなり、虜になる事間違い無しです。